トップの選び方

大王製紙前会長の553千万円での無担保借入金事件で、201231日東京地裁で初公判が行われた。井川意高氏(47歳)は20116月に大王製紙の会長に就任したばかりで、9月に巨大な借入金があったと発覚した。彼は前会長創業者の故・伊勢吉氏の孫に当たり、2代目社長の高雄氏の長男である。いわゆる三代目経営者。借入の55億円のうち約43億円はカジノに使ったと主張、特別背任の罪も認めた。

  日本では小さい会社には家族経営が多いため、大体後継ぎを選ぶには長男の場合が多い。長男がいなければ長女、もしくは娘婿というケースもある。所有者(株 主)にとって身内でやっていると安心感がある。これもアジアの中で固有な伝統経営手法と言える。当然のことで、この手法による良い面があり、例えば企業の 創業期と急成長期に非常によい結果に結びつくケースが多い。しかし、今回のこの事件を通してみると成熟した日本企業の伝統的な後任経営者の選び方について 問題視をしなければならない。ある一定の規模になった会社は、経営と所有の分離をはっきり分けて考えないと、事業存続に問題が生じる。日本企業の中で長男 に対し、とにかく会社の後継ぎになってほしいというケースはたくさんある。もちろん、ユニクロの柳井社長のような2代 目成功事例もある。しかし一方、経営能力のない者が経営トップとなった場合、その企業が衰退する危険性が大きい。また、所有者=経営者となっている会社は トップの権限が強いため、結果、裸の王様になったり、周りにはイエスマンに囲まれたりしている。経営上においても、企業環境においても衛生的ではない。

今回、大王製紙の場合は所有と経営の分離がきちんと行われていないことによってチェック機能が欠落した。もっと驚くことに、大王製紙が上場企業のため、日本の株式市場までも傷つくこととなった。今回のことを通して、伝統的な日本企業経営トップの選び方に関して考えるきっかけとなれば幸いに思う。